健康ウォーキング・フットパス・ハイキング、自然観察のお勧め!
”春がめぐって来た” 淡緑と山桜の八重山丘陵
自然と響き合う Nature Feeling
パートを奏でる
低く垂れこめた雲のあい間からさす陽の光にススキが輝きます。
風がススキの原をわたっていくと、サワ、サワサワサワ、サワッー、サワ、サワサワ、サワ……と
ススキがこたえます。
シャワ、シャワ、カサカサ、パタ、パタパタパタ、シャーッ、シャシャ……とほかの木々や落葉も加
わります。
風が勢いをますと、流れる雲も光のシャワーをそそいだり、隠したりしてこたえはじめます。
Shirouma Nature Symphony Orchestra の演奏は、こうしてなんの前ぶれもなくはじまります。
このオーケストラの奏でるものは、「虫たちのささやき」「ぱらぱらドングリ」「カエルと雨垂れ」
といった小品から、「吹雪の夜」「雷鳴と閃光」といった大作までヴァリエーションに富んでいま
す。
虫たちは、虫たちにしかできないパートを奏で、カエルはカエルたちの、木の実は木の実の、光は
光のといったように、それぞれのパートは、だれが決めたということではないのに絶妙なバランスで
組み合わされています。
だれが指揮をとるということでもないのに、それぞれの発する絶妙な音色や響きは調和されて、奏
でられます。
そして、演奏は、音を発することのないさまざまなもの、色や形、動きや明るさ、ぬくもりや気配
といったメンバーとともに、四季を通じ、一日として休む間もなく続けられるのです。メンバーはい
つの間にか入れかわり、一つとして同じ作品はありません。
みずからの与えられたパートを着実にこなすメンバーによって奏でられる曲のメッセージを、私た
ちの”こころ”は受け取ることができているでしょうか。
そして”こころ”で受け取ることのできたメッセージを、ほかの人の”こころ”にじょうずに伝えるこ
とができているでしょうか。
私たちはオーケストラの一員になって、曲を奏でることができるでしょうか。私たちが加わっても
絶妙なハーモニーを保つことができるのでしょうか。
あなたのまわりにも、きっとすてきなハーモニーを奏でてくれる自然のオーケストラがあるはずで
す。オーケストラの奏でる作品の数々は、じーっとしていると聞こえてきます。じ―っとしていると
メンバーの姿が見えてきます。じーっとしているとメーッセージを感じとることができます。
”星の王子さま”はキツネに教えてもらいました。
『心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだ
よ』ってことを……。
自然が奏でるメッセージ、かんじんなもの…
あなたには聞こえますか? あなたには、見えますか? あなたには、感じることができますか?
(1992.12 NACS-J )